イソフラボンの内分泌攪乱作用 |
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健康と病気と青汁 |
最近イソフラボン過剰摂取の健康被害が問題となっているが、1年半も前にそれを指摘している文献があったので、紹介する。 イソフラボンは、女性ホルモンのエストロゲン類似の働きを持つ。 食品としてイソフラボンを多く含む食品(大豆食品)を摂取することは、骨粗鬆症、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の予防に有効であることが、疫学的に示されている。 しかし、精製したイソフラボンは、試験管内・動物実験で、子宮内膜肥厚、内分泌器官の障害、乳癌悪化などの悪影響が確認されている。 食品中のイソフラボンは、ほとんどが配糖体であり、エストロゲン作用のある遊離体(アグリコン)は、ほとんど存在せず、小腸内で遊離体となって吸収される。 しかも、生体内でもグルクロン酸、硫酸抱合体して存在しているため、遊離体は実際には、数%程度である。 つまり、体に中に入って有効血中濃度が大きくなるようになっている。 一方、イソフラボンの遊離体(アグリコン)を添加した食品やサプリメントは、上記試験管・動物実験と同じように、その作用を直接受けることになり、過剰に摂取することで、乳癌・子宮癌の増殖を促したり、妊婦より胎児に移行して胎児発育障害など起こすことが懸念されている。 遊離体(アグリコン)を添加した食品・錠剤を服用すると、従来の大豆食品では多くても7〜8%程度のアグリコンを、80%以上に増強することになる。 健康への影響は、特に女性、とりわけ生殖期にある女性には悪影響があると考えられる。 自治医科大学教授 香山不二雄 |