胃食道逆流症

健康と病気と青汁

世界がん基金のがん予防14ヵ条

エイズ流行が心配されている

ヒトは病気しなければ120歳まで生きる

食べ物と癌

大豆の植物エストロゲン

イソフラボンの内分泌攪乱作用

食塩の摂取量

胃癌におけるピロリ菌と食塩

乳癌増加の原因

乳癌・大腸癌と高脂肪食

メタボリック・シンドローム

体重計に乗るよりウェストを測ろう

魚はどのくらい食べたらよいか

胃食道逆流症(GERD

食べ物と膵癌

胃食道逆流症(GERD)という病気がある。あまり聞いたことがないかも知れないが、食の欧米化、グルメ・飽食の時代の今日、若い人の間にも増えている結構身近な病気だ。

病気のメカニズムは、胃液が食道に逆流するシンプルなものだが、症状はきわめて多彩で、しばしば見落とされて、他の病気として治療している場合もあり、注意が必要だ。高齢者では胃と食道の境が緩んだり、ヘルニアができて逆流するのが多いが、若い人でも一度にたくさん食べすぎたり肉や卵、乳製品など脂肪の多い食事で逆流することがある。コーヒーや紅茶、アルコール類、ケーキなどの甘いものも胃酸の分泌を高め、逆流を起こしやすくする。

もっとも典型的な症状は、胸焼け(胸が熱く焼けるような感じ)。近い症状として、食べたときに胸がつかえる感じ、通りにくい感じ、げっぷ、口がすっぱくなるなどがある。胃痛や吐き気、嘔吐がみられる場合もある。困るのは、他の臓器の病気を思わせる症状がみられることで、胸痛、咳、喘息様症状(ゼーゼー)、のどの痛みやのどの違和感(のどの圧迫感、異物感、ひっかかるような感じなど)、嗄声(声がかすれる)、耳痛など多彩である。心臓の病気である狭心症や肺の病気の気管支炎、気管支喘息、耳鼻科領域ののどや耳の病気に間違えられていることもある。実際、長い間患っていた頑固な咳がGERDとわかり、治療で嘘のように治ったり、原因不明の胸痛で苦しんでいた人がこの病気だったということもある。

診断は胃のレントゲン検査や胃カメラでできる。胸の症状があれば、心電図や肺レントゲンを撮れば分かる。検査で異常なくても、症状だけで診断する場合もある。要は、患者さんは自分の困っている症状をすべて医師に話し、医師もこの病気のことを常に頭の片隅に置いて診療することだ。

治療はいたって簡単で、フロトンポンプ阻害剤(PPI)やH2ブロッカーという薬を飲むだけ。あるいは、制酸剤を併用する場合もあるが、ほとんどの例がこうした治療でよくなる。

最近はグルメ・飽食の時代、また夜型人間も増え、食生活は悪化の一途をたどり、若い人の中にもこの病気が増えている。また、高齢化社会を迎え、加齢による逆流症も増加している。疑わしい症状があって、いろいろ治療しても良くならない人は、一度内科消化器専門医に相談してみてはいかが。