大豆の植物エストロゲン

健康と病気と青汁

世界がん基金のがん予防14ヵ条

エイズ流行が心配されている

ヒトは病気しなければ120歳まで生きる

食べ物と癌

大豆の植物エストロゲン

イソフラボンの内分泌攪乱作用

食塩の摂取量

胃癌におけるピロリ菌と食塩

乳癌増加の原因

乳癌・大腸癌と高脂肪食

メタボリック・シンドローム

体重計に乗るよりウェストを測ろう

魚はどのくらい食べたらよいか

胃食道逆流症(GERD

食べ物と膵癌

国立病院機構東京医療センター臨床内分泌研究室室長・臼井 健

■女性が閉経すると、骨粗鬆症、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、2型糖尿病、アルツハイマー病など増加するが、原因としてエストロゲン(女性ホルモン)が減少するためではないかと、考えられている。欧米では、これらの病気の発症予防に女性ホルモンの投与が行われてきた。

■しかし、近年WHIという大規模臨床試験で、その有用性ははっきりせず、むしろ乳癌発症リスクが高まることが示された。このことから、女性ホルモンの投与は見直しを迫られている。

■そこで注目されているのが、植物中に含まれ女性ホルモン作用を持つ植物エストロゲン。代表的なものは、大豆に含まれるイソフラボンであるゲニステインやダイゼインなど。大豆関連食品の豆腐、納豆、味噌、醤油などに含まれる。

■アメリカの心臓病学会の栄養委員会は、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)の予防に大豆の摂取を推奨する宣言をだした。最近、中国で行われた大規模臨床試験では、大豆摂取の多い人に虚血性心疾患の発症が少なく、大豆摂取が虚血性心疾患の発症を減らすことを証明した。他にも大豆は、高脂血症改善作用があり、骨粗鬆症や2型糖尿病にも有効とされている。また別の研究で、女性に多いアルツハイマー病で、更年期早期にエストロゲンを補うことは、アルツハイマー病の発症予防に重要との指摘もある。

■最近の話題は、エクオール。大豆イソフラボンのダイゼインは、腸内細菌によって、エクオールに変わる。エクオールはダイゼインよりも強いエストロゲン作用を持つ。ところが、全員の人がダイゼインをエクオールに変える能力を持つわけではない。変える能力をもつ人の割合は、3人に1人程度。エクオールへ変える能力を持っている人の方が、そうでない人に比べて、大豆摂取によって健康を手にする可能性がより高いことになる。

■しかし、こうしたもって生まれた素因の不利も、食事の内容により補うことができる。エクオールの乏しい人は、大豆食品の量を多くしたい。そしてさらに、虚血性心疾患(狭心症、心筋梗塞)、2型糖尿病、アルツハイマー病、癌の予防にもよいとされている緑黄野菜と青汁をしっかり添えることで、大豆の効果に加えたい。青汁がより効果を強める。